自民党は2026年10月22日、サイバーセキュリティ対策の強化に関する提言を党の政調審議会で了承しました。デジタル庁に対する項目には、DIDとVCの有用性を検証するよう求める内容が盛り込まれています。

平将明衆議院議員の公式発表によると、企業への攻撃や個人情報の流出、AIによる攻撃の高度化を背景に取りまとめたものです。DID・VCは、本人確認や情報管理を見直すための検証対象として挙げられました。

デジタル庁に何を求めているのか

提言本文の5ページには、DID・VCの有用性検証と、マイナンバーカードの公的個人認証(JPKI)を民間システムへ組み込むことの促進が並んでいます。提言は、情報漏えいや改ざんへの強さを期待する次世代の信頼基盤としてDID・VCを位置づけています。

今回確認できる段階は、政府への政策提言です。DID・VCを使う具体的な行政サービス、採用する技術仕様、実証の対象や開始日は、この項目には記されていません。事業者にとっては、デジタル庁で進む検討が具体的な利用場面や評価方法にどうつながるかが、実装との接点になります。

デジタル庁の有識者会議でも、活用に向けた課題を議論

デジタル庁では、今回の提言に先立って、VCなどの活用に関する検討が進められています。「属性証明の課題整理に関する有識者会議」は、行政手続のデジタル完結や自動化に向け、VCとデジタルアイデンティティウォレット(DIW)の利用で想定されるリスク、技術面・運用面の対策、その実施を促す方法を議論する場です。

2026年4月には2025年度の報告書が公表され、行政機関がVC・DIWを活用する際の検討事項リスト案も示されました。2026年度も検討は続き、9月11日には第1回会議が書面開催されています。

自民党の提言は、こうした既存の検討がある中で、DID・VCの有用性検証をサイバー対策の一項目として求めたものと位置づけられます。今後は有識者会議で整理するリスクや対策を、具体的な利用場面でどう評価・実装するかが注目点です。

本人確認の方法と、保存する情報を併せて見直す

提言はDID・VCに加え、デジタル認証サービスや対面確認アプリを使ったマイナンバーカードの民間利用拡大を求めています。これは既存の本人確認手段を普及させる施策として記載されています。

個人情報保護委員会への項目では、本人確認で取得した画像などの保存期間・保存方法について、必要な業種ごとに所管省庁とルールをまとめることも求めています。企業が不要な個人データを持ち続ける状況の改善を促す内容です。

次に注目したいのは検証の対象と評価方法

今回の提言は、国内のサイバー対策の中にDID・VCの検証を位置づけました。今後具体的な検証が行われる場合には、誰が証明を発行し、誰が何を確認するのか、保有する個人データをどこまで減らせるのかが焦点になります。

有用性を評価するには、発行後に資格が失効した場合や、利用者が端末を紛失した場合の運用も含めた確認が必要だと考えます。技術の採用範囲と運用条件が明らかになることで、企業も自社の本人確認や資格確認に使えるかを判断しやすくなります。