ニュース原文:https://www.telecomreviewasia.com/news/technology-news/29479-ntt-docomo-global-accenture-and-aws-expand-uwi-to-strengthen-agentic-ai-governance/

NTTドコモグローバルは、アクセンチュアおよびAmazon Web Services(AWS)との協業を拡大し、自律型AI(Agentic AI:エージェンティックAI)のガバナンスを強化する取り組みを発表しました。このプロジェクトは、主にソフトウェア開発や企業の業務ワークフローにおいて、AIが自律的に実行するアクションの検証、管理、監査を安全に行うためのインフラ構築を目指しています。

生成AIがユーザーの指示を受けて自動で作業を完結させる時代に突入する中、企業は自社のシステム内でAIをどう安全に稼働させるかという実務的な課題に直面しています。

自律型AIエージェントの本格稼働と監査リスク

AI技術の進化により、人間のサポート役だったシステムは、自ら判断して複数のタスクを実行する自律型AIエージェントへと移行しつつあります。業務の劇的な効率化が期待される反面、AIが社内システムにアクセスしてデータを処理したり、外部サービスと連携してトランザクション(取引・処理)を完了させたりする際のリスク管理が急務となっています。

AIが実行したアクションが「本当に権限を持ったユーザーの指示に基づくものか」「ルールに準拠して処理されたか」をシステム側で確実に検証し、後から監査できる仕組みがなければ、コンプライアンスやセキュリティの観点からAIエージェントを実際の業務に組み込むことは困難です。

UWI(ユニバーサル・ウォレット基盤)の拡張

このガバナンス課題を解決するために拡張されるのが、NTTドコモグローバルとアクセンチュアが共同開発してきた「UWI(Universal Wallet Infrastructure:ユニバーサル・ウォレット基盤)」です。

UWIは、特定のアプリに依存せず、組織の枠を超えてデジタルIDやデータ、資産を安全に発行・検証できるエンタープライズ向けの共通インフラです。今回のAWSとの協業により、クラウド上の高い処理能力を活用しつつ、このUWIをAIの動作環境へと適用させます。DID(Distributed Identity:分散型ID)やVC(Verifiable Credentials:検証可能なクレデンシャル)といったオープンな技術標準を活用し、人間やシステム、そしてAIエージェント間の認証と権限付与を暗号技術によって厳密に管理するトラスト(信頼)基盤として機能させます。

分散したシステムをつなぐ安全なデータ連携

現在の企業のシステムは、部門間や企業間でデータが分断されたサイロ化状態にあることが多く、AIエージェントが横断的に活躍する際の障壁となっています。

UWIが提供する相互運用性の高いインフラとAWSのクラウド環境が組み合わさることで、企業は自社が保有するデータを安全に外部パートナーと連携させながら、AIエージェントを活用したリアルタイムなサービス提供が可能になります。ユーザーの同意に基づいた正確なデータ共有が実現し、ビジネスプロセス全体の連携が加速します。

新規事業・データ活用における次世代のAIガバナンス

AIエージェントが業務フローに組み込まれるこれからのデジタル経済において、自社システムのガバナンス要件は根本から見直しを迫られます。

自社が保有するデータや顧客基盤を脅威から守りながらAIの恩恵を引き出すためには、システム間のあらゆるアクセスや取引の正当性を証明するインフラを整えなければなりません。事業設計の段階から、AIに与えられた権限の証明にDIDを用い、検証済みのデータを安全に流通させるためにVCを活用するといった具体的な技術実装を自社のワークフローへ組み込むことが、次世代のビジネスインフラを構築する前提条件となります。