ニュース原文:https://services.digital.go.jp/mynaapp/
デジタル庁は2026年夏を目途に、現行の「マイナポータルアプリ」と「デジタル認証アプリ」を統合し、新名称「マイナアプリ」としてリニューアル提供すると発表しました。
このニュースは、単なる行政アプリのアップデートにとどまりません。自社のサービスにマイナンバーカードを利用したオンライン本人確認(eKYC)や電子署名の導入を検討している事業会社やベンダーにとって、サービス設計の前提を大きく変える重要な転換点となります。
具体的に何が変わり、ビジネスにどのような影響を与えるのか。既存アプリとの違いを中心に整理します。
「2つのアプリの使い分け」によるUXの摩擦を解消
これまで、マイナンバーカードをスマートフォンで利用する際、ユーザーは目的に応じて2つのアプリを使い分ける必要がありました。
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- マイナポータルアプリ: 行政手続き、マイナポータルへのログインなどに利用
- デジタル認証アプリ: 民間サービス(銀行口座開設、ECサイト、シェアリングサービスなど)での本人確認や電子署名に利用
この「用途によって使うアプリが違う」という複雑さは、ユーザーにとって分かりにくく、民間事業者がサービスに本人確認を組み込む際の離脱(コンバージョン低下)要因にもなっていました。
2026年夏に提供される新「マイナアプリ」は、これらの機能を完全に1つに統合します。行政手続きも民間サービスの認証も、すべて1つのアプリ内で完結するため、ユーザーの迷いや操作の手間が大幅に削減されます。既存のマイナポータルアプリがアップデートによってそのまま「マイナアプリ」に切り替わるため、再ダウンロードの壁もありません。
事業者側の最大のメリット:改修なしで「スマホ完結」へ全面対応
今回の統合において、サービス提供側の事業者(RP:Relying Party)にとって最もインパクトが大きいのは、「物理カード不要のスマホ完結」が一気に進む点です。
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従来、デジタル認証アプリを前提として開発された民間サービスでは、認証のたびにプラスチックのマイナンバーカードをスマートフォンにかざす必要が生じるケースがありました。
しかし新「マイナアプリ」への統合により、事業者側が自社のシステムを改修することなく、Androidの「スマホ用電子証明書」や、iPhoneに搭載されたマイナンバーカード機能での認証・署名に自動的に対応できるようになります。ユーザーは物理カードを取り出すことなく、スマートフォンの生体認証(顔認証や指紋認証)等だけでスムーズに厳格な本人確認を完了できるようになります。
新規事業・データ活用における「3つのビジネスインパクト」
アプリが統合され、ユーザー体験がシームレスになることで、民間サービスにおける公的個人認証の普及は新たなフェーズに入ります。今後の新規事業やサービス設計において、以下の3つの変化を前提として織り込む必要があります。
- 「厳格な本人確認」のコスト低下と標準化
金融機関だけでなく、チケット転売防止、CtoCプラットフォーム、シェアリングエコノミーなどにおいて、「マイナアプリ」をAPI連携で組み込むことが最も手軽で確実な本人確認手段となっていきます。
- 物理カード前提から「スマホ完結前提」のUX設計へ
ユーザーは物理カードを持ち歩かないことが当たり前になります。サービス設計者は「スマホの中にあるID情報」を呼び出して認証や年齢確認を行う、摩擦のないUX(ユーザーエクスペリエンス)を再構築することが求められます。
- 民間サービスと行政サービスの境界線の融解
1つのアプリに認証機能が集約されることで、ユーザーの中で「行政手続き」と「民間サービスの利用」のシームレス化が進みます。民間サービスから行政データを安全に呼び出して活用するような、官民連携型の新規事業のハードルが大きく下がります。
今回の「マイナアプリ」への統合によって、アプリ間の移動や物理カードを取り出してかざすといったユーザーの摩擦が減り、スマホ完結の本人確認がより一層シームレスな標準体験となります。自社のサービスや新規事業にこの仕組みをどう組み込めば、顧客の「面倒くさい」という離脱を防ぎ、快適に使ってもらえるか。 本人確認のスムーズさがサービスの競争力に直結する今、具体的な活用方針を検討し始めるべき絶好のタイミングと言えます。

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